コラム

遺言書がない着物はどうなる?相続税評価と遺産分割協議の実務ポイント

執筆:きもの査定ガイド編集部
この記事の結論

故人の着物は相続財産に含まれるのか、遺言書がない場合はどう分ければよいのか。相続税の家庭用財産評価のルールと、遺産分割協議・形見分けを進める際の実務的な注意点を整理します。

着物は洋服と違って「価値の幅」が大きいため、相続の場面で扱いに迷いやすい財産です。結論から言うと、着物も原則として相続財産に含まれ、遺言書があればその指定に従い、なければ相続人全員での遺産分割協議で分け方を決めることになります。ここでは相続税評価の考え方と、家族間で揉めないための進め方を整理します。

着物は相続財産に含まれるのか

現金や不動産と違い見落とされがちですが、着物・帯・和装小物も故人の財産の一部として相続の対象になります。

  • 家財の一部として扱われる — 家具・衣類などと同様、遺産分割・相続税申告の対象になる。
  • 価値の差が大きい — 普段着の小紋と、証紙・落款のある作家物や正絹の礼装(振袖・留袖・訪問着)とでは評価額が大きく異なる。
  • 数量が多いと見落としやすい — 箪笥にまとめて収納されているため、遺産目録の作成時に漏れが生じやすい。

まずは「着物も財産目録に含める」という前提を家族間で共有しておくことが、後々のトラブル防止につながります。

遺言書がある場合・ない場合で何が変わるか

遺言書の有無によって、着物の分け方を決める手続きが変わります。

ケース進め方
遺言書あり原則、遺言書の指定どおりに分配する(「〇〇の着物は長女へ」等の記載があればそれに従う)
遺言書なし相続人全員による遺産分割協議で分け方を話し合い、合意内容を遺産分割協議書にまとめる

遺言書に着物の記載がない場合や、遺言書自体が存在しない場合は、他の財産と合わせて協議の対象になります。誰が着られるか、資産価値の高いものかどうかで意見が分かれやすいため、早い段階で家族の意向を確認しておくと進めやすくなります。

相続税の申告で着物はどう評価されるか

相続税の申告にあたっては、着物も「家庭用財産(家財)」として評価対象になります。

  • 原則は1点(1組)ごとの評価 — 国税庁の財産評価基本通達に基づき、本来は個々の着物ごとに評価するのが原則。
  • 少額のものは一括評価が可能 — 1点(1組)あたりの評価額が一定額(目安として5万円程度)以下のものは、家財一式としてまとめて申告できる運用が実務上一般的とされる。
  • 高額品は個別評価の対象になりやすい — 証紙・落款のある作家物、正絹の礼装、アンティークの逸品などは、この目安を超える可能性があるため個別に評価しておくと安心。

評価額の判断が難しい場合は、リサイクル業者や査定士による無料査定を活用して「客観的な価格の目安」を得ておくと、申告実務がスムーズになります。具体的な評価方法・申告要否は個々の状況によって異なるため、最終的な判断は税理士に確認するのが確実です。

遺産分割協議・形見分けを進める際の注意点

着物の分配は「資産としての価値」と「思い出としての価値」が絡み合うため、次の点を意識すると調整しやすくなります。

  • 目録を作ってから話し合う — 種類・状態・証紙の有無を一覧化し、全員が同じ情報を見ながら議論する。
  • 形見分けと遺産分割を分けて考える — 資産価値の高い着物は遺産分割協議の対象として扱い、実用品の形見分けとは切り分ける。
  • 合意内容は書面に残す — 遺産分割協議書やメモに「誰が何を受け取ったか」を記録し、後日の認識違いを防ぐ。
  • サイズ・仕立て直しの負担を先に決めておく — 受け取る側が着用できないサイズの場合、仕立て直し費用の負担者を事前に確認する。

まとめ:着物の扱いで揉めないために

着物は感情面と資産面の両方が絡むからこそ、早い段階で「財産目録に含める」「評価額の目安を把握する」「話し合いの記録を残す」という3点を押さえておくことが、相続をスムーズに進める鍵になります。判断に迷う場合は、査定業者への相談と合わせて、税理士・弁護士などの専門家に早めに相談することをおすすめします。

注意

  • 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の相続税申告・法的判断を代替するものではありません。
  • 家庭用財産の評価基準(金額の目安等)は国税庁の財産評価基本通達に基づく一般的な運用であり、個々の状況・改正により異なる場合があります。具体的な評価・申告は税理士にご確認ください。
  • 遺産分割・形見分けに関する法的な取り扱いは、弁護士等の専門家にご相談ください。
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きもの査定ガイド編集部

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