お手入れ・保管

正倉院の開封に学ぶ着物の秋の虫干し|点検の手順と湿度管理のコツ

執筆:きもの査定ガイド編集部
この記事の結論

2026年10月1日に正倉院宝庫の扉が開かれ、宝物の点検が始まりました。虫干し(曝涼)の本来の目的である「点検」の考え方を、家庭の着物の秋の虫干し・湿度管理に置き換えて手順をまとめます。

秋の虫干しは「風を当てる」ことより「状態を点検する」ことが主役です。2026年10月1日、奈良・正倉院の宝庫で年に一度の開封が行われ、専門家による宝物の点検が始まりました。同じ考え方を家庭の着物に当てはめれば、空気の通る晴れた日に1枚ずつ広げて状態を確かめ、記録するだけでも十分な虫干しになります。

正倉院の開封と「曝涼」の関係

報道によると、正倉院宝庫は2026年10月1日に年に一度の開封が行われ、扉を閉める12月4日の「閉封の儀」まで、専門家らが宝物を点検・調査するとされています(取得時点:2026年10月16日)。旅行会社の案内では、この点検時期に合わせて宝物を一般公開するのが正倉院展と説明されており、第78回正倉院展は2026年10月24日〜11月9日、奈良国立博物館で開催予定と案内されています。入場方法や料金は変わることがあるため、公式の案内で確認してください。

虫干しの古い呼び名である「曝涼(ばくりょう)」は、保管していた品を出して点検し、虫害や気候による損傷がないかを確かめる作業とされ、夏の終わりから初秋に行われることが多いと解説されています。つまり虫干しの本質は「出して・見て・確かめる」ことにあります。

家庭の着物に置き換えた秋の虫干し手順

専門的な設備がなくても、次の流れで点検の考え方を取り入れられます。

  1. 日を選ぶ:晴れが2〜3日続いた乾いた日の午前10時〜午後2時ごろ。雨の翌日や朝夕の湿った時間帯は避ける
  2. 場所を選ぶ:直射日光の当たらない、風通しのよい室内。着物ハンガーや衣紋掛けに掛ける
  3. 1枚ずつ広げて目視する:下の表の項目を確認する
  4. 半日〜数時間で収納に戻す:長く出しっぱなしにすると、かえって光や埃で傷みやすくなる
  5. メモを残す:気づいた点と日付を記録し、次回の比較に使う
点検箇所見るポイント
襟・袖口・裾黄ばみ、汗や皮脂の変色、擦れ
畳みジワの折り山生地の傷み、虫食いの小さな穴
全体白い粉状のカビ、斑点、においの有無
金銀の箔・刺繍糸のほつれ、変色
帯・小物帯芯の湿り、帯締め・帯揚げの色移り

湿度管理のコツ:数値で見る

正倉院の保存環境についての報告では、西宝庫は空調で湿度を約60%に保つ運用が紹介されています。家庭で同じ環境をつくることはできませんが、「湿度を目で見て管理する」発想は取り入れられます。

  • 収納場所に温湿度計を1つ置き、梅雨や秋雨の時期の変化を把握する
  • 桐たんすは湿気に強いとされる一方、下の段に湿気がたまりやすいとの解説があるため、特に大切な着物は上の段に入れる
  • 洋服ダンスや衣装ケースには除湿シートを使い、詰め込みすぎず空気の通り道を残す
  • 秋は空気が乾いて見えても、梅雨や秋雨のあとに湿気が残る収納があるため、虫干しの日に引き出しの底も確認する

カビ対策の詳細は着物のカビ対策、防虫剤の選び方は防虫剤の種類ガイドもあわせてご覧ください。

点検で異常が見つかったときの対応

  • 白いカビや強いにおい:自己流でこすらず、変色が広がる前に和装専門のクリーニングやカビ取りに相談する
  • 虫食いの穴:周囲の着物も同じ場所に収納されていたなら全て点検し、防虫剤を見直す
  • 処分や買取を考えている着物:点検時の状態メモと写真が、査定時の説明に役立つ

出典

注意

  • 本記事の正倉院に関する情報(開封日、閉封予定日、正倉院展の会期)は報道・旅行会社の案内に基づく2026年10月16日時点のもので、変更される場合があります。参観の際は奈良国立博物館などの公式情報をご確認ください。
  • 正倉院は温湿度が管理された専用施設であり、家庭の収納とは条件が異なります。本記事は考え方を参考にする趣旨で、同等の保存効果を保証するものではありません。
  • 貴重な着物、絹の古い品、カビや虫食いが見つかった着物は、無理に手入れせず専門業者にご相談ください。

きもの査定ガイド編集部

編集部

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