コラム

着物は誰に譲る?2026年成立「デジタル遺言」で形見分けの意思を残す方法

執筆:きもの査定ガイド編集部
この記事の結論

2026年6月に成立した改正民法で、遺言をパソコンやスマホで作成できる「保管証書遺言」制度が新設されました。着物の形見分けを巡るトラブルを防ぐために、この新制度の仕組みと今からできる準備を整理します。

誰にどの着物を譲るかを言葉だけで伝えておくと、形見分けの場面で「言った・言わない」のすれ違いが起きがちです。2026年6月17日に成立した改正民法では、パソコンやスマートフォンで作成できる新方式の遺言「保管証書遺言(通称・デジタル遺言)」が創設されました。この記事では制度の概要と、着物を家族に遺す人が今からできる準備を整理します。

なぜ着物は「言った・言わない」でもめやすいのか

  • 着物は現金や不動産と違って評価額が分かりにくく、価値の感じ方が家族間で食い違いやすい
  • 「この着物はあなたに」という口約束は法的な効力を持たず、遺産分割協議の場で覆ることがある
  • 証紙・作家名など価値の根拠が本人にしか分からないまま亡くなると、形見分けの判断基準が失われる

こうした事情から、着物のように「誰にどれを譲るか」を具体的に書き残しておく価値が高い財産ほど、遺言という形で意思表示しておく意味があります。

「保管証書遺言(デジタル遺言)」とは何か

2026年6月17日に成立し、6月24日に公布された改正民法により、新しい遺言の方式として「保管証書遺言」が創設されました。報道などでは「デジタル遺言」とも呼ばれます。

項目内容(2026年8月時点)
正式名称保管証書遺言
通称デジタル遺言
作成方法パソコン・スマートフォン等で作成(全文の自書は不要)
本人確認遺言書保管官の前で全文を口述(対面またはウェブ会議を想定)
保管場所法務局
押印廃止の方向(自筆証書遺言などと合わせて)
施行時期公布の日から3年を超えない範囲内で施行予定。本記事執筆時点では未施行

自筆証書遺言のように全文を手書きする必要がなく、それでいて公的機関が本人確認・意思確認の手続きを行う点が特徴です。「手軽な自筆証書遺言」と「確実だが費用のかかる公正証書遺言」の中間的な選択肢として位置づけられています。

既存の遺言方式との違い

方式全文自書本人確認保管場所
自筆証書遺言必須なし自己管理(法務局の保管制度の利用も可)
公正証書遺言不要公証人が確認公証役場
保管証書遺言(新設)不要遺言書保管官が確認法務局

高齢や身体的な理由で長文を手書きするのが難しい人でも利用しやすくなると見込まれています。一方で施行はまだ先のため、今すぐ使える制度ではない点には注意が必要です。

施行前の今、着物の形見分けに向けてできる準備

  • 財産目録・エンディングノートに着物の情報を書いておく:証紙・作家名・購入時期・保管場所など、価値の根拠になる情報を残しておくと家族が判断しやすくなる
  • 「誰に譲りたいか」の希望を書面化しておく:保管証書遺言の施行を待たなくても、現行の自筆証書遺言・公正証書遺言で着物を特定して遺贈や分割方法を指定できる
  • 一度専門家の査定を受けて価値の見当をつけておく:遺産分割協議で揉めにくくするため、生前に査定を受けておくのも一つの方法
  • 制度の施行時期を継続してチェックする:2026年8月時点では未施行のため、今は既存の方式で準備を進めつつ動向を見守る

注意

  • 本記事の制度内容は2026年8月時点の報道・専門家解説に基づく取得時点の情報です。施行時期・具体的な運用は今後の政省令等で変更される可能性があります。
  • 遺言の作成・財産評価・相続税に関する具体的な判断は、税理士・弁護士・司法書士など専門家にご相談ください。
  • 着物の価値の見極めは一つの査定結果だけで判断せず、複数の専門家に相談することをおすすめします。

きもの査定ガイド編集部

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