お手入れ・保管

着物の虫食い対策と見つけたときの直し方ガイド——かけはぎ修繕と防虫剤の使い方

執筆:きもの査定ガイド編集部
この記事の結論

着物の虫食いは衣類害虫が湿気と汚れを好んで発生します。陰干しと防虫剤による予防法、虫食いを見つけたときの応急対応、かけはぎ(かけつぎ)修繕とクリーニングの選び方を整理しました。

着物の虫食いは、カビとは別に衣類害虫(イガ・コイガなど)が原因で起こります。予防の基本は「汗・皮脂を残さない」「湿気をこもらせない」「防虫剤を正しく使う」の3点で、すでに虫食いを見つけた場合は自分で穴をふさぐより専門店の「かけはぎ(かけつぎ)」に相談するのが安全です。

虫食いはなぜ起こる?衣類害虫の発生条件

着物を食べる代表的な害虫はイガ・コイガの幼虫で、絹・ウールなどの天然繊維に含まれるタンパク質を餌にします。

  • 汗・皮脂・食べこぼしの汚れ: 見た目にわからない汗染みも幼虫の栄養源になる
  • 湿気がこもった収納: 換気されないタンス・衣装ケースは幼虫が育ちやすい環境になる
  • 長期間の未点検: 1年以上出し入れしないと被害の発見が遅れやすい

収納前・保管中の予防(陰干しと防虫剤の使い方)

虫食いを防ぐ基本は「陰干し」と「防虫剤」の組み合わせです。

  1. 着用後は2〜3日、風通しのよい室内で陰干しし、汗・湿気を飛ばす
  2. 天気の良い乾燥した日を選んで収納する
  3. 和服用のシートタイプ防虫剤を、着物と直接触れないよう紙に包んで入れる
  4. 年2〜3回(梅雨明け・秋・冬)を目安に虫干しし、状態を点検する
防虫剤の種類特徴注意点
無臭タイプ着用時に匂いが残りにくいシートタイプが和装向けとされる
有臭タイプ(パラジクロロベンゼン系など)防虫効果が高いとされる異なる有臭タイプ同士を混ぜると成分が反応し、溶けてシミの原因になる場合がある

同じ引き出し・衣装箱の中では、メーカー・種類を揃えて1種類だけ使うのが安全とされています。

虫食いを見つけたときの応急対応

虫食いを発見したら、まず落ち着いて次の順に確認します。

  • 同じタンス・衣装ケースに収納していた他の着物・帯もすべて取り出して点検する(幼虫や卵が移っている可能性がある)
  • 被害箇所を自分で強くこすったり水で洗ったりしない(繊維がさらに傷む・シミが広がる恐れ)
  • 応急処置として陰干しし、防虫剤を交換したうえで、早めに専門店に相談する

修繕方法——かけはぎ(かけつぎ)とクリーニングの選び方

小さな穴でも、自己判断での接着剤・アイロン補修は色や生地を傷める可能性があるため、着物専門店への相談が基本です。

被害の状態対応の目安
ごく小さい穴・織り糸のほつれ程度「かけはぎ(かけつぎ)」で目立たなく修繕できる場合がある
穴が大きい・複数箇所に及ぶ生地の状態次第で修繕可否・費用が変わるため要見積もり
カビ・シミも併発しているクリーニング(丸洗い・しみ抜き)と修繕を合わせて相談

かけはぎは同系の生地を裏側から編み込むようにして穴を目立たなくする専門技術で、料理店・クリーニング店によって対応可否や費用が異なります。取得時点の情報では、被害の大きさ・生地・依頼先によって金額差が大きいため、複数店に見積もりを取ることをおすすめします。

注意

  • 本記事の防虫剤の使用方法・修繕方法に関する情報は執筆時点(2026年9月)の一般的な知見に基づくものです。防虫剤は製品の表示・注意事項に従って使用してください。
  • かけはぎ・クリーニングの対応可否・費用は業者や被害状況により異なります。正確な金額・仕上がりは依頼先に直接確認してください。
  • 古い着物や正絹(シルク)素材は特にデリケートです。自己判断での薬剤処置・水洗いは避け、専門店にご相談ください。

きもの査定ガイド編集部

編集部

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